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賃借人に家賃の値上げ交渉をする際のポイントと注意点

賃貸経営をしていると、家賃の値上げを検討せざるを得ない場面があります。

しかし賃借人にとって、家賃は生活や事業に直結する大きな負担であるため、ただ一方的に「家賃を上げたい」と伝えてもスムーズに受け入れられるとは限りません。

今回は、賃借人に家賃の値上げ交渉を行う際のポイントと注意点を見ていきます。

家賃の値上げに関する正当性

借地借家法第32条では、借賃増減請求権について規定されています。

以下のような事情があれば、増額を主張することが可能です。

 

  • 公租公課など負担の増減がある場合
  • 不動産価格・経済事情の変動がある場合
  • 近隣同種物件との乖離(相場不相当)がある場合

 

どれか1つでも当てはまればよいですが、複数の根拠を重ねるほど正当性が増します。

家賃の値上げ交渉をする際のポイント

家賃の値上げ交渉をする際は、以下のポイントを意識してください。

 

  • 値上げの根拠を明確にする
  • 段階的な値上げを検討する
  • 法的措置を検討する

 

それぞれ確認していきましょう。

値上げの根拠を明確にする

まずは、以下のように値上げの根拠を明確にしてください。

 

  • 固定資産税や修繕費などの負担増
  • 周辺相場との乖離
  • 経済事情の変化(物価上昇や建築コストの増大)

 

資料としてまとめて提示すると、賃借人が納得しやすくなります。

客観的データを使って交渉するのを徹底しましょう。

段階的な値上げを検討する

家賃の値上げ交渉で、大きな障害となるのは「賃借人の急激な負担増」に対する抵抗感です。

たとえば1度に2割の増額を求めると、賃借人にとって生活費や事業コストが大きく跳ね上がります。

そこで重要なのが、以下のように、段階的な引き上げを提示する方法です。

 

  • 初年度は現行賃料の5%増
  • 更新時にさらに5%増
  • 次の更新時に目標額へ到達

 

上記のように時間をかけて目標の家賃水準に到達させると、賃借人が資金計画を立てやすくなり、交渉を受け入れる余地が広がります。

法的措置を検討する

家賃値上げの話し合いがまとまらない場合、最終的には裁判所の手続きを利用して解決を図ります。

まずは調停の申立てをし、それでも解決しない場合に訴訟に進みます。

値上げ交渉時の注意点

いきなり一方的に「来月から値上げ」と伝えると、信頼関係が崩れやすくなります。

理由や背景を丁寧に説明し、準備期間を設けましょう。

それから借主の事情を無視しないのも重要です。

家賃は、生活や事業に直結するため、賃借人の経済状況や事業環境を無視すると対立が激化します。

相手の意見に耳を傾けつつ、値上げの理由を丁寧に説明する姿勢が重要です。

まとめ

家賃の値上げは、オーナーにとっては必要不可欠な経営判断である一方、賃借人にとって生活に直結する大きな負担となります。

客観的な根拠の提示はもちろん、誠実な姿勢も忘れないようにしましょう。

交渉がまとまらない場合には、調停や訴訟といった法的手続きを利用しますが、専門的な知識を求められるケースも少なくありません。

早い段階で弁護士に相談することも検討してください。

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弁護士 野崎 大介DAISUKE NOZAKI

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